NICKEL&DIME(ニッケルアンドダイム)

 仕事柄色々な展示会を見てはいるが、ユーロのカジュアルブランドってどういう訳だかストリートな物が多い。しかも思いっきり腰履きだったりオーバーサイズだったりとこれって幾つぐらいの年齢設定なんだろ・・と思ってしまうところばかり。USA・UKどちらの音楽チャートを見てもヒップホップ系だったりクラブ系だったりが時代を席巻しており、それがユーロにも多大な影響を及ぼしているのは仕方がないことなんでしょう。でも昨今のユーロ高でそういうブランドでも結構な価格設定だったりします。しかもそれって高校生や大学生ならまだ許されるだろうけど、いい年した大人がダバダバなサイズでその辺歩いてたらちょっとどうかと思いますよ、個人的には。このニッケル&ダイムはアメカジベースなアイテム構成ながら、そのデザインエッセンスはヴィンテージの要素を多分に含むニューヨークを中心とした東海岸側の文化、そう、根強く残る古き良きアメリカンスタイルからフューチャーしたものが中心なのです。それでいてカジュアルにおけるユーロ圏で確立した文化である、ロッカーズやモッズ・UK ARMYといったUKモチーフを前面に押し出しUSAのブランドとの差別化を図っています。生産はイタリアを中心としたユーロ圏で行われています。というのもこのニッケル&ダイム、アメカジスタイルUKモチーフながら、イタリアはモデナに本拠地を置くFin Essse S.r.l.(フィン・エッセ)社の自社ブランドなんです。他に“A-Style”“Furniture Civili”という2ブランドを展開しており日本でも販売されていますが、ライセンス契約だったりライセンスを保有していた会社を買収したりと自社ブランドというわけではなく、ニッケル&ダイムだけが唯一の自社オリジナルブランドで、ニッケル&ダイム以外のブランドがマスマーケット狙いなのに対し、ニッケル&ダイムはファッション性の高い層に向けたブランドと位置付けられています。その割にはユーロ高の中自社生産だからかプライスレンジは抑え目で、ユーロブランドとしては入りやすく、中心年齢設定も20代後半〜30代後半と大人が着ることを前提としたアイテム構成です。勿論カジュアルですから年齢は問いませんし、デザイン・テイスト・縫製全てにおいて高次元でバランスがとれているので、今後伸びてくること間違いないイタリアっぽくない(笑)イタリアンブランドです。

NICKEL&DIME NAVAL STAND ZIP SWEAT (税込)¥19,740

 ニッケルの雰囲気がよく出ている一品。海軍風の味付けでポケット口やフラップ、そしてスタンドカラーの立てたとき外側になる部分にリップストップの布帛を使い、味を出すと共に補強にしている。それでいてジップアップのスウェットというレトロなアメカジアイテムであり、色出しや縫製に気を使いダブルジップの引き手もオリジナルというこだわり様。丁寧なイタリア縫製で、イタリアには珍しい日本人が着ても細身に思えるほどタイトシルエット。袖丈が長いのはまぁインポートなんで仕方がないとして、それを除けばドメスティックブランドにはないデザインバランスでサイズも良い感じだし縫製も丁寧、とニッケル&ダイムを言い表すのにまさにピッタリなのです。もう一色ワインがありますが、そちらも人気です。

NICKEL&DIME SCOTLAND L/S TEE (税込)¥13,650

 これまたベタベタにイギリスネタなロンTです。それでも上質なスピーマ綿を使った柔らかでしっかりとした生地を使い、左袖にはスコットランドを表すワッペン、裾に刺繍、胸のプリントはラバープリントに艶を消したブラス(真鍮)風の発泡プリントを重ね、ブラスを白く塗ったのが剥げて下地の金属がさびた様に見える凝った技法を用いています。ここまでやると、生産国がイタリアでもイギリスブランド以上にイギリス味になっています。よく考えたら今となってはイギリスの顔の1つと言って良いBELSTAFFですらイタリア生産ですから英国調の味付けがきちんと出来ていれば、なまじ本国のブランドでなくても良いのかも知れません。そう思える一着です。

NICKEL&DIME TRIM S/S POLO (税込)¥14,700

 通常のスピーマ綿の天竺よりも番手の細い糸を使ったワンランク上のポロ。それだけにボーダーなどの柄を入れず袖口のトリムと胸のチェーンステッチ刺繍のみで勝負しています。着ると理解る上質素材(なんたってロンTよりも高いんで)でデザインのこなしがカジュアルなものってなかなか無いので出来ることなら定番として毎年やって欲しいぐらいです。

NICKEL&DIME NAVAL SLUB S/S POLO (税込)¥13,440

 ニッケルお得意のネイヴィースタイルですが、素材使いが流石としか言いようがない当て込みなんです。表は割合ツルッとした質感なんですが裏側はスラブ織りで横にデニムの当たりのように太い糸が飛んでいてべたつかないざらっとした肌触りになっています。それでいて色は敢えてネイビーと白のみで、ワッペンと刺繍が付いてはいますが、それ以外は生地感と海軍風なデザインのみで勝負しています。軍物をモチーフにするとついアーミー(陸軍)なデザインの物になってしまいますが、実際ネイビー(海軍)やエアフォース(空軍)の方が野暮ったさが無くて格好良いと思うのは気のせいではないはず。特に夏=海的なイメージがあるので半袖物ならこっちの方がはまると思います。
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